初めて脱出ゲームをやり、初めてビアガーデンに行き、初めてポーカーをやった週末だった。高校のころ帰宅部としてつるんでいた友人たちが都内に住んでいるので、ときおり集まって遊ぶのだが、やったことのないことをやろうの回として先の3つに興じた。どれもなかなか楽しかった。
脱出ゲームは、長らく行ってみたいとは思いつつも、同じく行ってみたいと言う人間が周囲にいなかったし、自分から誰かを誘って、というほどの興味ではなかったから、ずるずると先延ばしにしていた。今回行かなければたぶん一生行かなかったろう。
当の公演は脱出するというより推理モノだったのだが、一人を除いて初挑戦の人間のパーティ(その経験者の一人も2回目)では太刀打ちできるわけもなく、ふつうに失敗。「違う気がするな~」と思いながら提出した答えが案の定違うという完全な敗北で、ただ悔しさのみが残る結末だった。が、ちゃんと誘導が用意されていること、そしてセオリーが存在することが分かったので、次は行けるんじゃないかな! 分からないけど。
ビアガーデンは、シンプルに「わざわざあっつい外気に触れながらビールを飲むのはアホなんじゃないか?」と思っていたのだが、半分当たっていて半分外れていた。当たっていた部分は、炎天下でビールを飲むのはアホだということ。外れていたのは、そもそも酒類を飲む時点である程度アホなので、夏の風物詩としては十分に楽しいということ。
でもしかし、コンビニでビールを買って公園や河川敷の隅っこで飲む方が楽しいかもしれない。いやむしろそんな気がする。そういうことが許され得る若さを持っているうちは、ね。
ポーカー、今回はテキサスホールデムのことだが、スマホアプリを入れたのち、一度もやらずに削除した経験があるだけで、こちらも興味がありつつ機会がないと始めないタイプのものだった。端的に言えば楽しかったが、時間が溶けるゲームだったので気を付けよう、といったところ。結果としては300→約600とチップを倍にできたので、初めてにしては上出来なんじゃないだろうか。
いずれにせよ、やっぱりオフラインゲームはコミュニケーションが根幹になっていて、オンラインゲームで顔の見えない相手とプレイする時間よりも圧倒的に濃度が高い時間を過ごせたと思う(もちろん、オンラインゲームで知らない相手と阿吽の呼吸ができたときの快感は、これとは別の軸で快感だが)。特にポーカーでは、5枚目のカードでフォーカードが揃い、大逆転したひとがいたシーンはかなり熱かった。
それにしても、初めて体験するものは、まあ大抵の場合楽しいのだけれど、歳を取るにつれて、「初めて」によって得られる快感が目減りしていっている気がする。それは、経験の蓄積による既視感(漫画とかはこの傾向にある気がする)なのか、快感に対する慣れなのか(報酬系の麻痺はおそろしいことだ!)、加齢に伴う感覚の鈍化なのか。ただ流行りについていけないだけなのか。
もっと、もっと、新しい快感を、見たことのない景色を、と求めることは、ひとを健全な行動に駆り立てるような気もするし、欲望ドリブンの無間地獄に堕とすような気もする。
そこで何がひとを分けるのか、ちょっと、いやかなり、気になるね。