24/04/29 ベツナレンサ

ゴールデンウィーク、すでに大忙しだ。

休みなのに忙しいとはおかしな話(よくある話ではある)だと思う。休みは休むべきというポリシーにも反する。しかし実際、やりたいことが多すぎて大忙しである。

とにかく美術館や博物館に行きたくて行きたくて仕方がない。祖父母の葬儀で2週連続帰郷したために、計4日間東京を離れていたことが大きい。暇な週末は2日間で4か所くらい巡っているはずなので、単純計算すると8か所分、行けていないことになる。結果この長期休暇を用いてあちらこちらへ駆けずり回っているのだ。

先週は早稲田大学のオリエント時代のガラス、SOMPO美術館の北欧絵画。GW初日の土曜日は初台で宇野亜喜良。昨日は町田の版画美術館で日本の近代版画、市民文学館で現代短歌、八王子で川瀬巴水、今日は松濤でエミールガレ。

書き出すと狂気に近いペースだが、東京に住んでいる意味と言ったらこれなので、行くしかない。知識欲を満たし、精神的安息、(場所によっては)都市の喧騒から離れた落ち着きをもたらし、ほどよい疲れを与えてくれることも大きい。

ガラス系統は昨年のサントリー美術館のガラスと、庭園美術館フィンランドガラスから興味を持ち始めた。叩けば割れる繊細な材料で、紀元前からその透明さと意図的に不透明にできる性質を活かした芸術が構成されていることは驚嘆する。そろそろオブジェが欲しくなってきている。

北欧絵画はムンク以外、名前しか聞いたことのなかった画家の作品を初めて目の当たりにできた。煌びやかながらどこか陰鬱な白銀の世界、急峻な崖、彩度低めの空、深い藍色の夜、北欧神話。好きなモチーフばかりで図録まで買ってしまった。そろそろ図録も本棚からあふれてきているが...。

宇野亜喜良はひたすら絵が上手い。画風を自在に使い分け、広告・挿絵・絵本、なんでもございのオールラウンダー。齢90とは思えないクリエイティビティ。軽んじていたわけではないが、予想を遥かに上回ってきた。

町田市の版画美術館は以前から色んな展覧会でその名を見てきたので行ってみたいと思っていた。ちょうど市民文学館にも行ってみたい企画があったので行ってみたわけだが、公園と建物が大変立派。世田谷美術館に行ったときも思ったが、自分の地元であれば県立くらいになりそうな規模の美術館がぽこぽこ建っていて本当にすごい。水辺で子供たちが遊んでいて大変のどかな空間。版画の方も、「版画を大衆に受け入れてもらえるようにしよう」運動の勃興と方針転換、戦前・戦中・戦後を渡った版画家たちの信念と模索にフォーカスされていて、そんなこと露も知らない自分にとっては学びになった。

版画と言えば川瀬巴水も同じ枠組みである。新版画は太田記念のポールジャクレーで知ったが、本家本元ということで、こちらはこちらで異なる版画に対する苦難があったようである。構図が似てるな~と思っていたが、どうやらそれは本人も感じていてスランプに陥ったとのことだった。しかし900円で約150点が見られるのはお得。浮世絵が好きなら必見ではあるまいか。

 

やはりどこかで見たものはその後の興味の糸を紡いでくれる。聞いたことがない画家だったり、曖昧なテーマだったりしても、行く価値があることがよくわかる。

次は東京周辺、4か所を回りたいが、この日記を書いていたら遅くなってしまった!起きられるだろうか...。