23/04/19 Her Majesty

BONUS TRACKと名付けられた場所に赴いたとき、ふと、ボーナストラックやシークレットトラックは、もう絶滅してしまったのだろうか、と思い当たった。

ストリーミングやサブスク全盛のこの時代において、CDという物理媒体をより多く売るために考案されたであろうオマケ曲は、よく考えれば数年は昔に廃れていても何も不思議ではない。人間が一生かけても聞き終えることのできない数の曲に一瞬でアクセスできるのだから、より多くのひとに聞いてもらうためには、力を入れるべきはプロモーション活動で、「ボーナス」を付けることではない。

一方で、シークレットトラックも、ポジションとしては「ボーナス」に近いファンサービスの一環だと言えるが、そもそも音楽をデータして電子機器に取り込んで持ち運ぶようになった十数年前、曲の再生時間が表示されるがために、存在が一瞬で看破されるようになってしまった。iTunesでやけに最後の曲の再生時間が長い曲があることに気付いたときの悲しみは、深く記憶に刻まれている。

根本的には、自分だって長らく「ボーナス」も「シークレット」も触れることがなかったから(CDを買わないからね)、もう文化として役目を終えたのだろう、と再び悲しくなったのだけれど、調べてみたらBUMP OF CHICKEN御大がずっとシークレットトラックを収録しているらしい!びっくりした。Spotifyで調べても出てこないから、完全にCDを買ってくれたファンに対するお礼だろう。最高だ基央。ありがとう。味噌汁'sは死んだらしい。そういうとこだぞ洋次郎。

当のバンプの曲を聞けていないので分からないが、完全にレコーディングでハイになった状態(あるいは疲弊しておかしくなった状態かもしれない)で録られたであろう、やりたい放題のあの雰囲気がまだ漂っているなら、そういう空気に浸っていた自分にとって、故郷との再会にも近い感慨を得られそうだ。

気になる。久しぶりにTSUTAYAに行ってみよう。

 

今日のお酒:ズブロッカ