23/03/11 Cinema, Museum

昨夜は映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」*1をレイトショーで見て、ふわふわしていたのでそのまま寝てしまった。

もともとカンフー映画が好きで、おおむねその系譜、またはSF要素が加わったものだと予想していたが、一言では言い表しがたい、混沌だった。その要素のごった煮が映画のストーリーを補強しているとも考えられるが、それよりも(どんな人生を歩んだらこんなめちゃくちゃな筋書きを思いつくんだ?)という感想の方が先に出る。ちゃんと一本柱は通っているし、しっかりエンタメ映画だし、見終わった後の「すごいものを見た」感はしっかりしているけれど、一方で何を見せられたのかは分からない。

これがアカデミー賞にノミネートされるのか...?という感覚は正直あるが、そのあたりの権威と見る者の感性は相互に独立しているはずなので、それはまあ、どちらでもいい。(3/12 19:39 追記:余韻を噛み締めているが、考えれば考えるほど素晴らしい映画な気がしてきた。ほかの映画を見たわけではないけれど、これが作品賞を獲っても納得だ。)金曜日の終わり方として文句はなかった。

 

そして今日は、国立新美術館で「ルーブル美術館展 愛を描く」*2に早速行ってきた(本当は先週、五美大展と一緒に行きたかった!)のだけれど、こちらはなかなか、微妙な、期待外れ感が否めなかった。

もともとそんなに宗教画が好きではない、という致命的な「Not for Me」の前提があることはさておき、これ以降がただの批判になってしまいそうなので、ひとつだけ選ぶと、序盤に並んでいる神話がモチーフの絵画のチョイスがかなり謎で、かつ、シーンの説明が必ずついているわけではない。前者はルーヴルの所蔵品の都合だろうが、後者は、絵の性質上、それを愉しむためには前提知識が必要とされるはずなのに、一部を除いて、ない。知らない神/人物の名前と絵が並んでいて、どこに愛を感じ取ればいいのか?

一方で、ル・シュウールやフラゴナールブーシェあたりは見栄えがしたし、絵に添えられた解説文を、目録のQRからスマホで読めるようにしてあったのは便利だった。それでも、総合すると40点くらい。

むしろそのあとに寄った21_21 DESIGN SIGHTで催されていた、トンボ鉛筆のZOOMのリブランディングのイベント「With a Pen」*3の方が「行って良かった」感はあったかな...。

 

結局、期待しすぎるのは良くないな、と期待を裏切られるたびに思う。

それは催し物でも、人間関係でも、仕事でも、なんでもそうだろう。それでもやっぱり、期待してしまう。期待が当たると、嬉しいから。その純真さは、それこそ愛すべきものなのでしょう。

ルーヴルに行かずとも、愛はあるわけで。

 

今日のお酒:バルブレア12年