23/02/14 My Funny Valentine

チョコレイトを贈り合う奇祭が催される特殊な一日であった。

別にチョコに限らず、かつ性別に囚われず、誰もが大切なひとにプレゼントを贈る日であるはずだが、極東の島国ではどこぞの菓子屋のプロモーションが大昔に炸裂し、チョコを中心としたお菓子を(なぜか女性から男性に、という形式で)贈ることが定着している。

言わずもがな、自宅でリモートワークに勤しむ独り身には縁遠い話であるが、季節のイベントや風物詩には乗っかるタイプなので、IKEAで購入したゴッツい板チョコを粉々にしてポリポリつまんでいただけだった。

 

もっといいチョコレイトを買うべきではないかとも思ったが、普段から愛好しているわけでもないものに資金を注ぎ込んでも、正直味の違いによる感動は得られないと思う。これが例えば普段から好んで飲んでいるウイスキーとかになったら話は別で、いいものを買ってスペシャル感を出し、かつその味の違いに興奮するところだけれど、結局よくわからないものは、質よりも量の方が、持続する幸福タイムが長くなる。

質の違いを理解しうる知識と興味がなければ、量が多い方が良い。

 

気になるのは、チョコレイトはどれくらいの金額で美味しさが飽和するのか、ということだ。寿司・焼肉・ワインなど、一般的にやや値が張ると言われている飲食物も、ある程度の金額で美味しさが飽和するという。お菓子はいかほどなるか。ちなみにウイスキーは5千円くらいだと思う。異論はありそう。

 

まあ、極論、自分が食べ物に興味が薄い方なので、高いチョコを買うことに意味を見出せない、というところが大きい。1万円のウイスキーのつまみが、100円のベビーチーズでも全く苦ではない。

2月14日に向けて作ったぜ!みたいな売り出し方に対峙して、イベント価格には乗せられないぞ、という反商業主義的な捻くれもある。イベントには乗るのにそこには乗っからないのかよ。

 

結局、奇祭を一緒に楽しむ相手がいないので、蔑ろになりがちな、それだけの話ではあるのであった。ちゃんちゃん。

 

今日のお酒:シグナトリー ティーニニック12年